結局、バーチャルYouTuberの定義は?

こういうことを5chなりニコニコ大百科でいうと「定義厨」といわれて一蹴されそうw

2017年12月からVtuberの数が急増。場所によっては「Vtuberの定義とは何か」と論争になっています。(筆者も以前の記事で勝手に定義しましたね)

そこで今回はVtuberの定義についてちょっと考えてみようかと。

いいだしっぺ

最初に「バーチャルYouTuber」を名乗って活動を始めたのは、キズナアイ氏でした。

現在Vtuberとされている方々は、基本的に「キズナアイ的な活動」をしていることで、ほかと区別されています。

3DCG、2DCG、人間の声、ボイスチェンジャー、ボイスロイド… 

姿かたちは違えど、みんなVtuberとして扱われています。

「バーチャルYouTuber」と「ゆっくり」との差

問題になるもののひとつとして、Vtuberと従来の「ゆっくり実況」や「ボイスロイド実況」との差が不明瞭ということが挙げられます。

ゆっくりは絵をLive2D&FaceRigで動かすことができますからね。ゲーム実況中のVtuberとの大きな違いはあまりありません(2DCGのVtuberなら尚更)。

所謂「転業者」の扱い

Vtuberはブームになったので、半ば便乗する形でゲーム実況者などの他業界のひとが参入するケースがあります。

また技術的にはVtuberだけれども、「キズナアイ的な活動」かといわれると微妙な方々もいらっしゃいます。

「バーチャルYouTuber」は「ミーム」で定義すべき

筆者の考えるVtuberの定義は

「バーチャルYouTuber」の「ミーム」を受け継いでいるか

ということです。

ミーム」は文化的遺伝子とも訳され、遺伝子(ジーン)のように人から人へ伝わっていく様々な情報のことです。

Vtuberでいえば、3DCG/2DCGをモーションキャプチャで動かすとか、「壺」(Getting Over It)をプレイするとか、そういった類のことです。

ミーム」は遺伝子のように進化します。女性アバターが男の声で話すのが良しとされたり、途中からやたらPUBGをやるようになったように、常に変化しつづけます。

Vtuberたちの作り上げたミーム」を継承していなければ、それは「Vtuber」とは呼べないでしょう。

Vtuberの「ミーム」としては以下のことをVtuber出現以前の過去から受け継いできたと考えられます。

VNA(バーチャルネットアイドル

ちゆ12歳に代表される、ネットで活動する「実体のない」アイドル。

2000年代初期に登場したいわば文化的な先駆者といえるでしょう。

ゆっくり実況

Live2Dで動くVtuberがたくさんいるのも、3DCGよりは導入が楽ということだけでなく、

ゆっくり実況で馴染みのある技術だから、とも言えるかもしれません。

MMD・ニコニコ

ボカロブームで普及した3DCGアニメーションソフト「MikuMikuDance」とそれを使うコミュニティ(ニコニコ)の存在。

ここで3DCGに強い親しみをもったはず。技術的にはニコニコで育まれたものが大きい。

時折Vtuberが「踊ってみた」「歌ってみた」動画をあげるのも、ニコニコの影響。

おわり

ミーム」の有無で考えると、「Vtuberの一覧」に何を載せればいいかは自然と見えてくると思います。

筆者はできたばかりのVtuber業界がますます発展するように応援しています。

Vtuberよりも前、ニコニコの技術系生主を探索する

2018/02/09 加筆修正

——-

先日バーチャルユーチューバーの年表を書いた筆者です。

のらきゃっと氏の事件をきっかけに、彼女について詳しく調べる過程で、

ニコニコで活動している技術系生主(今ならVtuberと呼ばれるかも)に強い興味をもちました。

今回はその技術系生主たちについて探索してみます。

みゅみゅ

www.youtube.com

みゅみゅちゃんねる

2014年ごろからニコ生で活動をしていました。

当時の内容はKinectという機器を利用して、自分の動きを初音ミクに連動させた雑談放送。

VR空間内で動く今のスタイルになったのは2016年ごろ。

とりすーぷ

とりすーぷ - niconico

VRで「結月ゆかり」になって生放送する

VRを利用して結月ゆかりの「コスプレ」をする、ゆかりごっこを2017年2月ごろから始めました。

おっさんがVRを利用して美少女になることを「TSVR」と命名。

www.nicovideo.jp

春風リリン

春風リリン - niconico

バーチャルアイドルちゃんねる(VIC)

2017年4月ごろからニコ生で活動していました。

バーチャルアイドルちゃんねる(VIC) の主宰。

ここにはのらきゃっと氏ねむ氏*1さんも所属しています。

www.nicovideo.jp

ねこます

www.youtube.com

ねこます - niconico

けもみみおーこく国営放送 公式WEB

「バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん」として知られる人物。のじゃロリおじさんとして活動しはじめたのは2017年11月ですが、

それ以前(2015年6月ごろ)からlive2Dやblender、unityに関する動画を投稿していました。

のじゃロリおじさんになる以前にみゅみゅ氏の生放送に出演したことがある。

www.nicovideo.jp

のらきゃっと

のらきゃっと -YouTube

ゼロから!バーチャル美少女ニコ生主 のらきゃっと

2017年4月ごろからニコ生で活動しはじめました。YouTubeでも活動開始したのは、Vtuberブームの訪れた2017年12月下旬です。

ときのそら氏とは師弟の関係。

↓は最初期ののらきゃっと氏

www.nicovideo.jp

おわりに

キズナアイ氏がYouTubeに登場し、ときのそら氏がまだ開発デモに出ていた時代に、

ニコニコにはVR技術を使って活動している人々のコミュニティが存在した、ということが

筆者にとっては純粋な驚きです。

現在のVtuber人口爆発も、彼らの存在あっての出来事ではないでしょうか。

また、昨今のVtuberブームで少々勘違いした人が生主たちの放送になだれ込んでいるのは残念なことです。

彼らは生主であって、「バーチャルユーチューバー」ではありません。

*1:彼女の提唱する「人類バーチャル美少女計画」はここから影響を受けているかも?

Oversharing - Love Cult

ロシア北西部、カレリア共和国出身の二人組。残念ながら2017年に解散。

ドローン(空飛ぶ奴じゃない方)の重低音と、BPM150のドラム。

踊ってる人はAlexandra Demkina という方。MVは彼女の故郷のレベジャニ(リペツク州、モスクワの南西にある州)で撮られた。

Love Cult - Oversharing (Official Video) from alina philippova on Vimeo.

バーチャルユーチューバー年表

2018/02/05 加筆

2018/02/06 一部修正

そもそもバーチャルユーチューバーとは何なのか

ニコニコ大百科曰く、

主にYouTube上で動画等の配信活動を行う架空のキャラクター群を指すのに用いられる呼称である。

ピクシブ百科事典によれば

YouTuberとはYouTubeの動画に出演する人のことであり、バーチャルYouTuberは文字通りバーチャルな動画出演者を指す。

具体的にいえば、自分の代理となる分身(いわゆるアバター)を作成し、彼or彼女たちになりきりながらYouTuberとして活動する出演者である。 肉体はイラストによる立ち絵からMikuMikuDanceによるモデリングまで様々で、音声についても地声で通すこともあれば、音声編集ソフトでの加工やVOICEROIDによる代弁によって成立させるなど、出演者によって様々な手法が採られる。

結構ふわふわした定義だと思う。


そういう訳で、ここでは「バーチャルユーチューバー」(以後Vtuberと呼称)の定義を以下のようにしたい。

  • 配信者の身体は3DCG、2DCG、あるいはその他の物質で構築されている。
  • 演者の動きをモーションキャプチャーやLive 2Dなどを利用して、配信者に反映させている。
  • 演者は姿を見せない。ただし身分などは明かしていても構わない。

年表は下のほうに書いてあります。

年表書いて思ったこと

Vtuber急激にふえすぎじゃね? 

はい…。 年表も多分網羅できてない。

分類としては以下の感じだろうか。

  • 第一世代 キズナアイ氏登場まで、日本では早期

  • 第二世代 ねこます氏(のじゃロリおじさん)登場まで、前期

  • 第三世代 2017年12月(富士葵氏・輝夜月氏あたり)登場から、中期

草創期は、技術的にはおそらくゆっくり実況やVOICEROID実況のような、多くの人に共有されたアバターが出てきて喋るものだと思う。

文化的には「ちゆ12歳」に代表されるバーチャルネットアイドルが原点だろうか。(あるいは「芳賀ゆい」のようなバーチャルアイドル

グラフ化

唐突にグラフ化することを思いついたので、ヘタクソながらやってみた。

f:id:russianelectronica:20180204225142p:plain
ヘタクソな「Vtuber数の推移」グラフ

2016年にキズナアイがデビューして、翌年の2017年の夏にVtuberに目を付けた層(前期)が参入(グラフから読み取れない)

2017年11月にのじゃロリおじさんがデビューして、そのあと急激にVtuberの数が増えてる(中期)(グラフから読み取れない)

のじゃロリおじさんに感銘を受ける形でデビューする人が増えたせいかも(主観)

年表

敬称は省略させていただきます。

2011/06/13 Ami Yamatoが活動開始。

2012/04/13 WEATHEROID TypeA AiriがSOLiVEで初登場。

2012/04/21 雪猫カゥルがニコ生で自作の「バーチャル生主システム」を利用した放送を開始。(生放送CG劇)

2014/03/03 アニメ娘エイレーン(ミライアカリのプロデューサー)が投稿を開始。

2014/05頃 みゅみゅがニコ生でKinectを利用した放送を始める。(コスプレVR)

2015/04/10 WEATHEROID TypeA AiriがSOLiVEナイトでMCとしてデビュー。

2016/12/01 キズナアイが活動開始。初めて「バーチャルユーチューバー」を名乗ったVtuber。

2017/02/19 とりすーぷがニコ生でHTC Viveを利用した放送をする。

2017/04/15 ノラネコ(のらきゃっと)がニコ生で活動開始。

2017/05/22 VRライブサービス「Cover」の開発デモでときのそらが登場。

2017/07/05 虎妮が投稿開始。

2017/08/01 バララとカレンが投稿開始。

2017/08/09 ばあちゃるが活動開始。初の男性型Vtuber。

2017/08/12 電脳少女YouTuberシロが活動開始。

2017/08/12 あんたまが投稿開始。

2017/08/20 萌実 & ヨメミ - Eileneが活動開始。

2017/09/07 ときのそらYoutubeで投稿開始。

2017/09/12 ねむが投稿開始。

2017/09/21 藤崎由愛が動画投稿を開始。

2017/10/27 ミライアカリが投稿開始。

2017/11/08 ねこます(バーチャルのじゃロリ狐娘Youtuberおじさん)が投稿開始。男性の声で話す女性型Vtuberとしては初めて(?)。

2017/12/08 富士葵が活動開始。

2017/12/09 輝夜月が活動開始。

2017/12/15 さはなが投稿開始。

2017/12/23 のらきゃっとYoutubeで投稿開始。

2017/12/28 霊電カスカが活動開始。

2017/12/28 馬越健太郎が投稿開始。

2017/12/29 ありしあが投稿開始。

2017/12/31 DDが活動開始。人間の姿をした男性型Vtuberとしては初めて。

2018/01/01 さょちゃんがVtuberとして活動開始。もともとすあだ作品のキャラクターとして2009年頃から活動していた。

2018/01/01 neral(辻モトコ)が活動開始。

2018/01/01 世界クルミが投稿開始。

2018/01/02 式大元がVtuberとして活動開始。

2018/01/04 届木ウカが投稿開始。

2018/01/05 もちひよこが活動開始。

2018/01/05 ナイセンがVtuberとして活動開始。

2018/01/05 ゾンビ子が投稿開始。

2018/01/07 げんげん(源元気)が活動開始。

2018/01/07 あっくん大魔王が活動開始。

2018/01/09 リクビッツがVtuberとして投稿し始める。

2018/01/12 ぜったい天使くるみちゃんが投稿開始。

2018/01/13 モスコミュールが投稿開始。

2018/01/13 ゴリラが投稿開始。

2018/01/13 ミディが投稿開始。

2018/01/15 乾伸一郎が投稿開始。

2018/01/15 クゥ・フラン・ゾーパーが投稿開始。

2018/01/18 ニーツ(VT-212)が投稿開始。

2018/01/18 尾野(シテイル)が投稿開始。

2018/01/20 天野声太郎が投稿開始。

2018/01/20 莉犬がVtuberとして活動開始。

2018/01/21 若菜レイが投稿開始。

2018/01/29 あいえる/松井社長がVtuberとして活動開始。3Dスキャンされた実在の人物がVtuberとして活動するのは初めて。

最後に

読んでいただきありがとうございます。

なんとも雑な仕上がりをどうかお許しください。

Buttechno

プロフィール

1988年、モスクワ生まれ。本名はPavel Milyakov。

モスクワ郊外のマリイノを拠点に活動。製作する曲はテクノ的なものから実験音楽的のものまで幅広い。

ファッションデザイナーのGosha Rubchinskiyのショー向けに曲を提供していることで有名。

Kedr livanskiyの恋人でもある。

レーベル「John's Kingdom」の主宰で、ギャラリー兼バー「NII」のオーナー。

名前の由来は友達がカセットテープのラベルに殴り書きした「autechno」を「buttechno」と読み間違えたことから。

履歴

2009年頃、MIDNIGHT COBRASというバンドでギターを担当。テクノにハマったシンセサイザー担当のSAVIER(現在はBURAGO)の影響でテクノを聞き始める。

同年、雑誌『Афиша』の仕事をしていた際に、Gosha Rubchinskiyと知り合う。

2011年にストロガノフ記念モスクワ芸術産業大学を卒業。

2014年にButtechnoの名義でソロ活動を始める。

2016年、来日し、東京・大阪のイベントに出演。

2017年にも再来日。

関連リンク

Kedr livanskiy

プロフィール

1990年10月4日、モスクワ生まれ。本名はYana Kedrina。

ButtechnoことPavel Milyakovの恋人でもある。

モスクワ郊外のマリイノを拠点に活動。

Aphex Twinの影響が見られる。

履歴

モスクワの映画学校のMoscow School of New Cinemaで出会い、音楽に関心のあった友達の小さなサークル(後のJohn's Kingdom)に参加する。

2015年に2MRからシングル「Sgoraet(Burning Down)」をリリース。

2016年にはEP「January Sun」をリリースし、2MRの主宰Mike SimonettiとAdam Gerrardと共にアメリカ横断ツアーを行う。

同年12月に来日し、東京を拠点とするアーティスト集団CONDOMINIMUMのサポートの下、東京・大阪ツアーを行った。

2017年は「Ariadna (ариадна)」をリリース。

関連リンク

Kate NV

プロフィール

1989年、タタールスタンのカザン生まれ。本名はKate Shilonosova。

モスクワを拠点とするバンド Glintshakeのボーカルで、Kate NVはソロ活動の際に使う名前。

ニューウェイブや日本のニューエイジの影響が強い。

ツイッターだとMoa Pillorとよく会話している(主観)。

履歴

2013年にR&Bの影響を強く受けた最初のEP「Pink Jungle」をリリース。

2014年は前衛音楽では有名なCornelius Cardew主宰のmoscow scratch orchestraに参加。

またRed Bull Music Academy Tokyoに参加するため来日。ライブイベント「Lost In Karaoke」に出演した。

2016年はOrange Milk Recordからカセットテープでアルバム「Binasu」をリリース。これは日本でPLANCHAからCDとしても発売された。

2017年はMétronのミックステープに自身の曲を提供している。

関連リンク